Win-Winという関係
まずは、目の前の人のことを知りたいと思う気持ちから
ビジネスの世界でよく言われている「Win-Win」という言葉があります。
それはアメリカの経営コンサルタント スティーブン・R・コヴィーさんの考え方から生まれた言葉だそうで、
「自分も勝って、相手も勝つ」という訳のとおり、お互いにメリットのある関係のことを表している言葉です。
(Win-Winの考え方について、以前にもこちらの「調和に向けて」の中でもお話しをさせていただきましたね)
そして、それは「相手の顔を立てる」という日本的な訳し方もできます。
それは、ビジネスだけではなくて日常の人間関係でも忘れてはいけない大切な姿勢。
自分の正しさだけを強く主張して、相手の言葉を受け入れないという姿勢は、人間関係をギクシャクさせてしまいますから。
大切なことは、相手の意見を抑え込むことで、その場から相手を追い出すことや、どうにかして主導権を握ろうとするのではなくて、
「私はこういう意見です」「あなたはこういう意見です」という、お互いの主張を認め合うことで、その場のそれぞれの居場所を見つけること。
そして、私とあなたの異なる意見が成り立つ「グレーゾーン」を見つけること。
いつも、白か黒かで物事を区別しなくてもいいんです。
「あなたにとってもっとも人間的なこと。
それは、誰にも恥ずかしい思いをさせないことである」
(フリードリヒ・ニーチェ)
という言葉があります。
私たちは、自分の意見が「正しい」と思った時、その反対にある意見を「悪い」ととらえます。
そうして、自分の意見の正しさを主張する時、自分の目線は相手よりも上の方にあって、相手を見下ろしていることがあります。
そのような関係のなかでは、歩み寄る姿勢も生まれにくいもの。
誰でも、自分の言っていることには少しでも自信を持っていますから、自分は正しいということも少しは思っています。
でも、どのような考え方や意見に出会っても、「それもアリかな」と受け止めることから「Win-Win」の関係が始まっていくんです。
この世界には、完全な答えも、完全な意見もありません。
ただ、いろんな意見が横一列の状態で同じようにして在るだけなのです。
だから、いろんな意見をとおして、いろんな人の価値観に触れてみてください。
それが、自分の考えを広げたり、深めたりするヒントを与えてくれるはずですし、自分の器も広げてくれるはずです。
「Win-Win」の関係によって、私たちがお互いから得るものは、物質的な価値のあるものだけではなくて、目には見えない豊かなものもあります。
目の前の相手のことを知ろうとする姿勢や、一つのことを分かち合うことをしながら、私たちは忘れていた大切なものを思い出していきます。
それは、本当の意味での「他人はいない」ということ。
本当は、どのような人の考え方や行動も、自分とそれほど変わらないんです。
私たちは、同じように創られていますから。
「セトモノとセトモノとぶつかりっこすると
すぐこわれちゃう
どっちかがやわらかければだいじょうぶ
やわらかいこころを持ちましょう」
(相田みつを)
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