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空を見上げる人

私たちは、人生において「知らない道」「初めての道」を歩く時、街灯のない真っ暗な道を小さな灯りを持って歩いているような気になります。

その道を明るく照らすものは、どこからか用意するものではなく、あなたのなかにすでに備わっている「勇気」なのです。

人間の一生とは、多くの場合、自らの選択によって方向が決定されるものです。

その時、先を見通す力や周到な準備も大切ですが、私たちに必要なものは、「勇気」を持つこと。

勇気とは、困難や危険や不安を恐れない心意気であり、自分が正しいと思う道を選択していく意志でもあるのです。

私たちは、今までの習慣や考え方や、慣れ親しんできたものに安心を感じて、なかなか捨てられないという習性を持っています。

それは、人間の遺伝子レベルで、私たちの思考に組み込まれているもの。

でも、私たちは自分の中に新しい価値観を見つけて、人生に新しい流れを起こしたいといつも考えます。

それは、肉体や心を超えた魂のレベルで、あなたが求めている生き方なのです。

今までの自分ではない自分になろうとするのなら、あなたのペースで変化を起こしていくことです。

湧いてくる未練や、それに対しての言い訳もすべて捨てるということ。

将来を恐れないこと。

老いを恐れないこと。

病を恐れないこと。

あなたは、自分主義で在っていいのです。

それが、自分を本当に生ききるということ。

自分で自分のルールを決め、自分がその責任をとる。

人に言われたことをするのではなく、自分の意志と計画で行動する。

本当の勇気とは、自分を変えていく恐怖心に抵抗することなのです。

この世界は、あなたの現状にふさわしい情念や要望を与えています。

でも、私たちを悩ませる心配が、この世界が与えているものではない時があります。

もし、病気になったらどうしよう。

もし、これを失ったらどうしよう。

それは、あなたがあなた自身に与えている心配であって、現実には存在しない状態から結びつけた、一方的な不安なのです。

間違っているとわかっていても、それを認めようとしないこと。

間違っていると認めているのに、それを変えようとしないこと。

最終的に人間の苦しみが終わるのは、もう苦しみはたくさんと私たちが合意した時。

あなたを邪魔しているものは、あなた自身なのです。

あなたは、あなた自身を追い詰める必要もなく、何かあるたびにあなた自身への不満を探す必要もないのです。

私たちの思考は、いつもあちらこちらにさまよって、定着することはありません。

でも、その揺れ動きこそが、自分であるということ。

それならば、人間の性質である不安定さと揺らぎを認めて、逆に楽しんでしまうこと。

外見だけでなく、私の思考や心も、時の流れの影響を受けています。

でも、すべてのものはその中で、私が生み出したものだから、私が信じるものであって、それを誰かが信じるかどうかはどちらでもいいことなのです。

あなたは、なにも隠さず、なにも嘆かず、堂々と素直に自分を表していればいいのです。

「順境は楽しめ、逆境にはこう考えよ。
 人が未来について無知であるようにと神はこの両者(順境と逆境)を併せ造られた」
 (新約聖書 コヘレトの言葉7章14節)

という言葉があります。

いつも変わらない、確実な自分というものはありません。

いつも変わらない不変的な自分を求めることは、かえって私の動きを妨げているかもしれないからです。

だから、私は不確実な状態に身をまかせることにしています。

それは、「答え」の中にいることではなく、いつも「疑問」の状態にまかせること。

無知という在り方に身をまかせること。

私たちはさまざまに変化します。

認めたくない姿もあるかもしれないし、光り輝く姿もあるかもしれない。

そのすべてがあなた自身なのです。

確かなものに頼ろうとすると、不安になる。

それならば、あやうさを生きること。

あなたには、そのあやうさを生ききる力が与えられているから。

「信念のためには、たとえ敗れると分かっていても、
 おのれを貫くそういう精神の高貴さがなくて、
 何が人間ぞと僕は言いたいんだ」
 (岡本太郎)

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