私たちの心の仕組み
あなたの心は何を見て、どこを目指していますか?
この世界には、みんなが当たり前としていながらも、まだまだ明らかにされていないことがあります。
私たちの心についてもそう。
人間の心というものは、本来はどのようにでもなるもの。
だから、心というのは、常に変化し続ける出来心のようなとらえ方もできます。
出来心と聞くと、私たちの今までの経験から、魔が差すとか悪い心だと思ってしまいますが、本当は善い心も出来心なのです。
周囲との関係の中で、状況のなかで出来上がってきるのが私たちの心だからです。
「ひとつの出来事は、われわれの中に住む、全く気づかなかった別人を目覚めさせる。
生きる事は、ゆっくり生まれることである」
(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)
と言う言葉があります。
私たちが言葉を話したり、行動をする時、その内容は私たちの心のなかにあることや、心の状態を表しています。
そして、それは動機を持っているものだから、いろんな影響を多くの人に与えることができますし、周りからの評価にもつながります。
人の言動を受けとめる時、私たちは三つのとらえ方をしています。
一つは、自分のために何かをしてくれたから、という主観のとらえ方。
これは、自分の価値観のフィルターを通して判断されるものなので、良いと悪いの二極に偏ることの多いとらえ方なのでしょう。
もう一つは、自分だけではなく、他の人にしているのを見ても同じようにそう思う、客観的なとらえ方。
これは、倫理観という、人として生きる道理をフィルターにしているとらえ方なので、その時その時の時代の価値観によることもある、とらえ方なのでしょう。
そして、もう一つ、スピリチュアル面からのとらえ方があります。
これは、神さまと私の関係で考えたとらえ方です。
この場合は、自己満足や感情ではなく、一般的な概念や固定観念でもないとらえ方をしますから、今まで良くないとしてきたことにも高い評価を与えることになることがあります。
この三つのとらえ方を理解して、あなたのなかに落とし込む時、そこに、本当の意味での人間としての成熟や、今のあなたが求める生き方というものがあるのではないでしょうか。
私たちには自我があり、でも、神さまとつながっている存在だからです。
私たちは、言葉を理解していない赤ちゃんの頃から、「自分」という実感をもっています。
何をしても「私」という意識があります。
成長するにつれて、自我は大きくなり、だんだん「私」という変わることのない存在があるのだと思い込むようになります。
でも、私たち生命を形づくっている細胞が、常に分裂と再生をくり返して一瞬も同じではないように、「私」を構成している筋肉も、血液も、心も、常に変化を続けています。
「私」という確固たるものはないのかもしれません。
ただ、変化を続ける私そのものに「私」という思い込みを持っているだけなのかもしれません。
「新たに生まれなければ、神の国を見ることはできない」
(新約聖書 ヨハネによる福音書3章3節)
という言葉があります。
私たちは、本質的な真理に気づくことによって、意識や思い込みを変化させて、新しい価値観をもって生まれ変わることができるということなのでしょう。
仏教でも、「浄土はどこか遠くにあるものではない、生きているここがそのまま浄土なのだ」と言われているように、神の国や浄土というものは、手の届かないとても遠い場所にあるものでもないのです。
理論とか理屈も、必要ではないのです。
あなたの身体でその本質をつかんで、真理に気づいて意識を変えて、新たに生まれ変わるその時、そこがそのまま神の国や浄土になるのでしょう。
「われわれ自身を効果的に変えるためには、最初にわれわれの感じ方を変えなければならなかった」
(S・R・コーヴィー)
という言葉があります。
スピリチュアルや宗教によってもたらされる信心とは、神の国や極楽浄土がどのような世界なのかを考えたり、想像したり憧れたりすることでもあり、
今、存在しているこの場所で、そのような調和の世界に触れたいという願いでもあります。
今までの私たちの思いこみは思い違いであったのかもしれません。
人間は生を受けて、その瞬間から死に向かっていくのではなく、智慧に目覚めることによって、生きながら何度も生まれ変わっていくのです。
智慧とは、この世の一切の現象や、現象の背後にある道理を見きわめる心の作用のこと。
智慧は慈悲の心を生んで、共に慈しむことを気づかせてくれます。
自我をあるがままの姿にしていくことによって、智慧というものが生まれてきます。
心のやすらぎに至ることができます。
そして、自分だけが悟りのなかにいればいいのではなく、同じように悩んでいた人たちを、自分と同じ調和の中に入れていく。
その先に、あなたの憧れた生き方がきっとあるはずです。
「今いるところから
離れていくんだ。
そうすると、
むかってたところに
たどり着くよ」
(映画「プーと大人になった僕」より)
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