観念というフィルター
思い込みを外すと見えてくる可能性
私たちは歳をとり、経験を重ねるにつれて、いろんなものごとについて「こうあるべきだ」という観念が固まっていきます。
今までの経験から得た知識がそうさせるのかもしれませんが、観念とは、その時その時の環境に適応するために私たちの中に出来上がっていく、心のクセのようなものなのでしょう。
だから、観念の示すままに何か新しいものを見ても「こういうものだろう」と思い込んでしまうこともあるのでしょう。
観念とは、物事を瞬時に認識するためのフィルターのようなものですから、本来は自分を守ってくれるもので支えてくれるものなのですが、
それは同時に私たちの視野を狭くさせてしまうものでもあります。
ものごとや人とのやり取りを、新しい視点で見ようとする時、その観念のフィルターを外すために必要なものは素直さなのです。
このままだといけないんじゃないかとモヤモヤした気持ちのままでいるよりも、素の気持ちのままに行動すること。
ものごとは、始めてからだんだん何かが見えてくるものですから、深く考えずに始めていいのです。
「心の風通しを良くしておきましょう。
誰にも悩みを聞いてもらえず、うつむいていると病気になります。
信頼できる人に相談して、心をすっとさせましょう」
(瀬戸内寂聴)
という言葉があります。
私たちは今の状態を良くしようと考える時や、自分の考えだけでこれからの可能性を見つけることができない時の一つの解決の方法は、人に相談して相手の話をよく聞くことです。
それは、会話の中心を自分の話ではなくて相手の話にするということ。
自分と反対にある意見に出会った時こそ、相手の話に集中してください。
会話とは、相手を打ち負かして優越を決めるものではなくて、お互いの立場を認め合いながら、それぞれが主張をするもの。
だから、自分と違う考えだからこそ面白いのです。
相手の意見をジャッジすることは、成長の機会をなくすことでもあるかもしれません。
自分と違う意見が理解できれば、自分には考えられない視点や、思いつかない発想を知ることですから、それだけ考え方の幅も広がるからです。
その上で、相手の考えが明らかに間違っていると思うのなら、自分の考えに自信を持てますし、
逆に、相手の考えが正しいと思うのでしたら、自分の考えを改善することができます。
だからどちらであっても、誰かと話して新しい価値観に触れることで、今までのあなたから新しい自分へ変わる機会を得られるのです。
「自分はこういう人間だという思い込みが
現在のあなたをつくっている」
(佐藤富雄)
という言葉があります。
私たち一人ひとりの中に、まだ自分でも知らない自分というものがあります。
今、あなたにはこれからの人生の設計とか、こうなりたいという夢や、私はこいいう人間だというものを持っていると思います。
でも、昨日のあなたは今日のあなたの姿を分かっていなかったですし、今日のあなたは明日のあなたの姿をまだ知らないのです。
今日はこうだったから明日もこうだと決めつけることは出来ないのです。
私たちには、無限の可能性があるから。
これから善くなる可能性も悪くなる可能性も十分にあります。
だから、今日一日を思う通りに生きていくのです。
「私たちは単純に、物事は『こうだ』、
あるいは『こうあるべきだ』と思い込んでいるだけである。
そして、私たちの行動や態度、考え方そのものも
こうした思い込み=パラダイム(考え方、見方)から生じている」
(スティーブン・R・コヴィー)
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