調和に向けて
幸せの姿に気づいたあなたが広げる、調和のエネルギー
令和の時代に入って3年が経ちました。
それ以前の時代と比べて、少しずつ、私たちの根底にある価値観が変化してきている感じがします。
以前の「土の時代」が物質や所有の時代だとすれば、現在は知性やコミュニケーションの「風の時代」
その変化のなかで、意識をするものがあるとすれば、自分の在り方と調和なのでしょう。
私も、これからも軽やかに時代の変化を楽しんでいきたいと思います。
薬師経のなかに「身心安楽」という言葉があります。
心に不安がないことを「安心」、身体が楽なことを「楽身」と表す言葉で、身も心も不安がなく、楽なことを幸せと言うのでしょう。
今の時代は、自分を表現する上でYESとNOをはっきりと言うことを求められることがあります。
でも、白黒をつけない、優柔不断な生き方もいいと思うのです。
グレーゾーンに生きる生き方のなかにも、大切なものがあるからです。
白か黒という、一方に偏る姿勢をやめることで、自分を押し通すことも、相手を否定することも必要ではなくなるのです。
今の風の時代の特徴の一つとして、「調和」というものがありますが、それは自分を主張して相手を打ち負かすことではなく、お互いが成り立つ着地点を見つけるということ。
現在の年号「令和」も、「人々が美しく心を寄せ合うなかで、文化が生まれ育つ」という、調和の意味をこめて名付けられたもの。
それは、物事をあいまいにすることではなく、多様性を認めるということ。
人間は、ひとり一人、さまざまな考え方や、いろいろな価値観をもっています。
そのなかで、自分の考えや価値観が正しくて、その反対にあるものも正しいという生き方をすれば、ジャッジも生まれることがなく、きっといずれはあなた自身の幸せへとつながるはずです。
「両忘」という言葉が禅にあります。
自分の言動が正しくて、あの人は間違っている。
善か悪か。
白か黒か。
得か損か。
と二者択一でとらえることをやめなさい、こだわりを捨てなさいという意味の言葉です。
それは、あなたと私は違うけど受け入れますということ。
そのほうが今までよりずっと楽に、清々しく生きられるような気がしませんか。
WinWinという言葉も、双方が利益を得る関係と思われていますが、それはどちらにも敗者をつくらないという関係でもあるのです。
「利行は一法なり、あまねく自他を利するなり」(道元禅師)
という言葉があります。
利行とは、誰かのためになるような行いをすることを意味します。
誰かのためになることと、自分のためになることは一つのことだから、人のためになることは自分のためにもなるという意味の言葉です。
これは、よく言われている「鏡の法則」や、アンドリュー・カーネギーさんの提唱された「返報性の法則」や、いろんな宗教でも説かれている、この世の普遍的な法則のようなもの。
だから、お仕事や忙しい日々のなかでも、他者に与えることでそれが自分のところに返ってきて、他者から与えられる循環が生まれるのです。
あなたの心のなかにある気持ちを表す言葉も同じです。
「ごめんなさい」や「ありがとう」という言葉は、口に出すのは恥ずかしいもの。
長い時間を一緒にすごしてきたパートナーや家族には、なかなか直接に言えないこともあります。
でも、心の中では何回でも言うことができますから、心の中で一言つぶやいてみてください。
こうして感謝の気持ちを心でつぶやくことを続けていくうちに、あなたの心が変化して、あなたの口にする言葉や行動に表れるようになります。
通りすがりの方のふとした親切に「ありがとう」という言葉が口から出ることも、
パートナーの方へのちょっとした理解が足りなかったことにも「ごめんなさい」と口にすることができるようになります。
あなたが手にしているささやかな幸せに気づくことができるようになれば、
気持ちというものは心の中だけでなく、外に向かって表現をすることで、あなたの周りに明るくて輝いたエネルギーを与えることができるのです。
「幸福を買いたいと思っても、ふつうの紙幣では買えない。
では、幸福を買うことのできる紙幣は何か。
それは、ほがらかさである」(ショーペンハウアー)
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