自分探しの目的
「自分探し」とは、過去を一つずつ忘れていくこと、そして、これからに期待すること。
生活スタイルや価値観の多様化から、いろんな生き方や考え方を選ぶことができる時代を、今、私たちは生きています。
それゆえ、ふと今の自分の仕事や将来、在り方に疑問をもつこともあります。
目の前の多すぎる選択肢に、一歩を踏み出せずにいる時もあります。
そのような時、自分をゆっくり見つめて、自分にふさわしいものを選んでいくこと。
そして、「自分探し」とは、若者だけのものではないのです。
自分と向き合っていく姿勢は、一生をかけて持ち続けるものなのです。

「帰家穏坐(きかおんざ)」(禅語)
という言葉があります。
永く旅をしていた人が、久しぶりに家に帰ったときに感じるような、穏やかな気持ち。
人間本来の真実の姿に帰り、心が安らかになることを表す言葉です。
心が穏やかになれる場所とは、自分を世間的な「ものさし」で計る前の自分自身です。
人間は、みんなと同じことができないと、自分が劣っていると錯覚してしまうことがあります。
でも、あなたが比較している部分は、この世の人間が造りだした価値なのです。
あなたには価値があります。
この世界のシステムは、あなたの内面や能力までを見通す目は持っていないのです。
今、あなたがやるべきことをわかっているなら、周りの環境に左右されずに、ひたすらやり続けること。
自分のやるべきことを知るためには、まず自分を知る必要があります。
自分にとって、何が一番必要なのか、正しく理解しておくことが、何かを始めようとする前に大切なこと。
その時その時の、あなたをとりまく環境や人間関係によって、自分の中にいろんな傾向はあるとしても、それを「善い」とか「悪い」で考えないこと。
仏教で言うところの、状況に応じて、私はどうにでもなれるという「応化力」をもって、時代や環境の変化に柔軟に対応していく。
人生に正解や間違いがないように、自分探しとは、正解を求めることではなく、今までの自分の生き方や居場所を抜けて、新しい人生を探すことなのです。

「自分自身でいよう。他人でいることは誰かがもうやっている。」(オスカーワイルド)
という言葉があります。
人生で起こり得る、避けるべきこと。
それは、あなたが「あなたではない、誰か」になろうとすること。
あなたが、自分の人生を肯定的に受け入れられないこと。
一生懸命、他人になろうとあがくこと。
あなたが人をうらやましいと思う時、気づいてください。
それがその人の人生なのだと。
あなたがいくらがんばって努力をしても、あなた以外の誰にもなることはできない。
そもそも、他人になろうとする必要はないし、うらやむこともない。
あなたは、唯一無二の存在だからです。
忘れないでください。
誰とも同じではないあなたは、
一点ものだから価値があるのです。

gloveさんの「Love again」という歌のなかに、このような一節があります。
「そろそろ少し 何か一つずつ
忘れていこう
期待しよう」(「Love again」glove)
自分の身体を通して経験をして覚えていくことと同じくらい、忘れていくことは必要なこと。
過去の成果で未来を生きることはできないからです。
あなたが何かを求めるのなら、やるべきことがあります。
それは、人生に何を期待するか。
私たちは、期待をすることから何かを始めるから。
どんなことでもいいのです。
期待することは、行動へとあなたを導いてくれるのです。

あなたが求めていたもの、
期待していたけど途中であきらめてしまったもの、
心にふとわいたアイデアだけで終わり、何も努力しなかったもの、
こういう人生だったらいいなあと思い描いたことのすべて、
それらはもう過ぎ去ったものではありません。
永遠に失われたものでもありません。
あなたはまだ、あなたの人生で何らかの充実を、幸福を期待しているはずです。
それを今、一つひとつ、また期待して、願って、生きてみる。
もし、自分のために用意されているものがあるとしたら、それを手にしないで人生を終えるという選択はありません。
あなたをとおしてしか成しとげられないことがある。
あなただけのために用意されている仕事がある。
あなたを待っている世界がある。
あなたは心に決めること。
あせる必要はありません。
あなたが整った時、あなたは自ずと輝くのだから。
「あなた自身でいなさい。世界はオリジナルを崇拝する」
Be yourseif. The world worships the original.
(イングリッド・バーグマン)
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